ハナショウブ
初夏の水辺に咲くアヤメ「ハナショウブ」です。
ハナショウブから香料は採られませんが、同属の「ジャーマンアイリス (Iris germanica)」や「ダルマチアンアイリス (Iris pallida)」の根茎からは香料を得る事が出来ます。(花からは香料を採りません)
手作業で掘り起こした根茎を2~3年程乾燥熟成させた後、粉砕して蒸留します。
この2~3年間の乾燥熟成期間はアイリスを特徴的な香りへと変換するための重要な工程なのですが、とても経済的とは言えない為、残念ながら生産農家は減少しているようです。
咲いている花と根茎から得られる香料は全く異なる香りがします。種類にもよりますが花はシトラス調の爽やかさとフィナンシェの様な甘さを持っています。ほとんど香りのない花もあります。香料はパウダリーでバラやジャスミンとは異なり、静かで官能的な甘さがあります。
アイリスの香りを楽しめる香水としてはCHANEL社のN°19が代表的です(トップノートはアイリスよりガルバナムのグリーンノートが強いですが)。男性用ではParfums Christian Dior社のDior hommeがあります。花の香りを楽しめる香水はHermès社のIRIS UKIYOÉがあります。