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香りの植物図鑑

シナモンとカシア

cinnamoncassiapictureスパイスとしておなじみの「シナモン(セイロンニッケイ)」、そしてシナモンとして販売されることもある「カシア(シナニッケイ)」です。

 

 

どちらも同じニッケイ属(Cinnamomum)で、スリランカで採られるシナモン、セイロンニッケイ(Cinnamomum zeylanicum)は、最も上質で優れているといわれており、対して中国で採られカシアと呼ばれる種、シナニッケイ(Cinnamomum cassia)は、やや黴臭さがあり品質が劣るといわれています。

 

 

写真の左はカシア(色が濃く、樹皮に厚みがある)で、右がシナモン(色が薄く、樹皮は薄い)です。触れた感じはカシアは枝のような硬さがあり、シナモンは薄くカサカサした印象です。

 

 

実際にそれぞれのスティック嗅ぎ比べると、スリランカ産のシナモンはカレーや医薬品を思わせるピリピリとしたスパイシーな香気で、カシアは甘いシナモンロールやアップルパイの香りがします。

 

 

水蒸気蒸留で抽出された香料を嗅ぎ比べると、スリランカ産シナモンバークはシナモンの特徴的な甘さとスパイスらしい辛みが感じられ、カシアはシンナミックアルデハイドやベンズアルデハイドといった甘みとややバルサミックな香気がありますが、ほとんどスパイシーさは感じられません。カシアはややしっとりとした雰囲気があり、これが文献に見られる黴臭さなのかもしれないと思いました。

 

 

ちなみに、シナモンバークはセイロンニッケイの樹皮を砕いて抽出されるのに対し、カシアはシナニッケイの葉や枝、茎の他、樹皮のカスから蒸留されます。

 

 

そしてシナモンとカシア両方とも、よく製造段階から偽和されるそうで、ピュアな香料はなかなか手に入らないようです。シナモンバークは現地で蒸留されたものより、樹皮を欧米に運んで蒸留されたものの方が高品質といわれています。

 

 

シナモンが使われている香水はSerge Lutens社のFeminite du Bois(フェミニテ ドュ ボワ)です。クリストファー・シェルドレイク氏とピエール・ブルドン氏によるオリジナルは以前資生堂ブランドで出ていました。とはいえSerge Lutens社も資生堂社のブランドの一つですが。

 

 

やがてブルドン氏はDior社のDolce Vita(ドルチェ ヴィータ)で、スパイシーウッディな似たような雰囲気の香水を作っており、こちらにもシナモンが使われています。

カッシー

cassiepicture見た目はミモザと似ていて、名前はカシアに似ている、なんとも紛らわしい花「カッシー」です。

 

 

しかも同じカッシーと呼ばれるものでも、香気の優れたAcacia farnesiana(アンシャン カッシー)と、香気の劣るAcacia carvenia(ロマーヌ カッシー)の2種があるという面倒臭さです。(写真はアンシャン カッシー)

 

 

和名は金色の合歓木(ネムノキ)を意味する、キンゴウカン(金合歓)といいます。(写真の花は白いですが、もっと黄色くなるようです)

 

 

街中でお目にかかった事は無く、東京都薬用植物園の温室で育てられていました。

 

 

香りはミモザに近いヴァイオレットノート(キュウリのような青臭さがあるという事)です。パンジーっぽくも感じられます。甘さはAnis aldehydeの甘さです。カッシーのアブソリュートはミモザのアブソリュートで偽和されるという理由もよくわかります。ミモザの花よりもカッシーの花の方が、ヴァイオレットノートと甘さともによく香っていました。

 

 

カッシーの花から得られるアブソリュートもミモザアブソリュートに近い雰囲気があります。大きな違いは湿布のようなスーッとした香りのメチルサリシレートが感じられる点です。ローズアブソリュートにも合いそうですが、ジャスミンにも合いそうな抹茶のようなふわっとした甘さも感じられます。

 

 

カッシーの香りが使われている香水はGuerlain社のAprès Londée(アプレロンデ)です。CHANEL社のN°5にも使われていますが、ローズとジャスミンをつなぐ香りとして機能しているのかと推測しています。

センチフォリアローズ

rosacentifolia2015picture香料が抽出されている数少ないバラの中の一つ「センチフォリアローズ」です。

 

 

名前は100を表す言葉centiからきています。花びらが100枚あるそうです。キャベツみたいな形なのでキャベッジローズとも言われています。

 

 

香料バラの一つですが、実際に嗅いでみると思ったほど強くは香りません。

 

 

フェニルエチルアルコールという香気成分が多く含まれているだけあって、この香りのややべったりした花香が特徴的に感じられます。また、ベータ-イオノンの持つ海藻のような香りも感じられます。

 

 

センチフォリアローズは、身近に咲いているバラではなく、栽培されているバラ園はわずかです。一季咲きで5月ごろに咲くためフランスではRose de Mai(5月のバラ)と呼ばれています。

 

 

写真のセンチフォリアローズは千葉県の佐倉にある草ぶえの丘で撮影しました。

 

 

さて、センチフォリアローズは香料も貴重なもので溶剤抽出で得られます。価格もダマスクローズのアブソリュートよりかなり高価です。

 

 

センチフォリアローズのアブソリュートは、フェニルエチルアルコールを中心とした、ハニー様の甘い香りです。トップにはミモザやヴァイオレットのようなフレッシュさがあり、ミドルには艶やかなバラの甘さが香り始めます。残香も極めてバラらしい美しい甘さが存在します。これはダマスクローズのオットーとアブソリュートには無い特徴に思います。

 

 

主な産地はフランスとモロッコ、エジプトです。南仏のグラース産ローズドメは、その名は有名ながら生産量が少なく高価なため、ごくわずかな香水にしか使用されていません。

 

 

ローズドメが使用されているもっとも有名な香水は、CHANEL社のN°5でしょう。また、Guerlain社のMitsoukoにも使用されています。最近の香水ではCHANEL社のMISIAがセンチフォリアの艶やかな魅力を最大限に引き出した作品だと思います。

ダマスクローズ

rosadamascena2015picture香料が抽出されている数少ないバラの中の一つ「ダマスクローズ」です。

 

 

お花屋さんやバラ園でよく見られる、見栄えの良い高芯剣弁咲きのバラではなく、花びらはクシュクシュでピンク色をしています。

 

 

香料が得られるバラという事で、さぞかし強い香りがするのかと思いきや、日本のバラ園に咲くダマスクローズはさほど強くはありませんでした。(トルコやブルガリアのプランテーションで栽培されているダマスクローズは強い香りがするのかもしれません)

 

 

香りはローズウォーターを想起させるようなフレッシュな香りで、花によってややグリーンがかった花やゼラニウムのような芯の強い香気がするものもありました。

 

 

気軽に嗅いでみたいものですが、ダマスクローズを栽培しているバラ園はごく一部です。その上、一季咲きなので5月頃にしか見ることができません。

 

 

写真のダマスクローズは千葉県の佐倉にある草ぶえの丘で撮影しました。

 

 

 

さて、ダマスクローズの香料は二通りの抽出方法から得られていて、一つは蒸留法のオットー、もう一つは溶剤抽出法のアブソリュートです。

 

 

特定の香気成分が抽出され、濃縮された香料は、両方とも咲いている花の香りとはだいぶ印象が異なります。オットーはやや青臭さを持ったフレッシュな甘さで、アブソリュートはハニー様のしっとりとした甘さを持っています。

 

 

主な産地はブルガリアとトルコです。ブルガリアンローズは有名ですが、もとは17世紀ごろトルコで栽培されていたものが持ち込まれてブルガリア栽培されるようになりました。トルコのローズもターキッシュローズと呼ばれ、フレグランス製品の説明書で見かけるようになりました。

 

 

ダマスクローズの香料が使われている香水として、Jean Patou社のJOYがあります。JOYのパルファン・エクストレは、かなりダイレクトにローズオットーの精油らしさが感じられます。

 

 

モダンな香水ではGuerlain社のIDYLLEがあります。フルーティノート、ムスク、パチュリも結構強く出ているので、JOYのような精油感は感じられませんが、人肌になじみやすいような美しい香りのフレグランスです。

イチジクの葉(フィグリーフ)

figleafpictureグリーンノートの一つ「イチジクの葉(フィグリーフ)」です。

 

 

ある夏の日、普段何気なく通っていた裏通りに、いつもと違う青臭ささとミルキーな甘さを持つ香りが広がっていました。

 

 

こんな場所にフィグリーフ?と思いながら辺りを見回すと天狗の葉っぱみたいな大きな葉とまだ緑色の果実が目に入りました。やはりイチジクでした。

 

 

フィグリーフの独特のグリーンノートは香水にも用いられますが、イチジクの葉から抽出した天然香料ではなく、調合でイチジクの葉に似た香りを再現した調合香料を使っています。

 

 

昔はこの葉からアブソリュートが作られていた様ですが、感作性と光毒性があるため現在はIFRAスタンダードで使用禁止となっているのです。

 

 

フィグの香りを使っている香水として、Parfum Christian Dior社のDune pour hommeやMARC JACOBS社のMENは、葉のグリーン感とミルキーな甘さが良く表れています。

 

 

また、Hérmès社の地中海の庭やROGER&GALLET社のFigは、果実の甘さが感じられる香水です。

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